「Step3:三角形要素を用いた薄板三角形の解析」
1.概要
step2では四角形の微小要素で三角形の薄板の解析を実施しました。
結果、三角形の斜辺部で応力模擬が現実とは違うと推定される様相を示していました。
そこで今回は微小要素を三角形にした薄板解析を実施してみます。
微小要素を三角形にするとdetail1で示したような変位関数を設定出来ません(三角要素の節点3個では12個の変数{c}を一意に決められません)。そこで参考文献[1]4.3項にて示されているハイブリッド応力法という計算方法を用いてみます。
解析対象はstep2と同じ以下としています。
・500x500x0.5mmの三角形のアルミ板
・1辺のみ固定
2.ハイブリッド応力法
この方式の骨子は以下となります。
・微小要素(三角形)の内部応力を9個の変数ベクトル{c}で仮定
・上述内部応力とその変位に応じた内部変位より内部応力による仕事量δUを設定。
・対して微小要素(三角形)の周囲応力と周囲変位{δ}による外部仕事量δWを設定。
・δU=δWより{c}と{δ}の関係を求められる。つまり周囲変位{δ}から内部応力が計算可能となる。
参考文献[1]にて詳細に示されているため、本稿ではこれ以上の記述を差し控えたいと考えます。
3.モデルの様子
変位法とハイブリッド応力法でのモデルの様子を示します。
〇変位法 〇ハイブリッド応力法


4.変形量と応力
ハイブリッド応力法と変位法(step2)およびFreeCAD(step2)の結果を並べてみます。
結果、ハイブリッド応力法により三角形斜辺での応力の不連続を解消出来ていますし、計算結果もFreeCADに近い値を示しています。
尚念のため述べますと、FreeCADでは動的な解析は出来ませんが、Scilabでは可能となります。
〇変位量
・ハイブリッド応力法:δ=19.5mm
・変位法:δ=18.9mm
・FreeCAD(板厚10倍、荷重1000倍):δ=19.38mm



〇応力(σxx) 最大
・ハイブリッド応力法:σxx=4.67MPa
・変位法 :σxx=3.87MPa
・FreeCAD(板厚10倍、荷重100倍):σxx=4.89 MPa



「補足」
優れた計算結果となったハイブリッド応力法ですが、以下の問題点を抱えています。
・質量行列の定義方法が数学的ではなく、工学的(感覚的)。
具体的には以下の様子となります。
〇変位法
変位関数[N]を対象要素内で積分することで求める(整合質量行列と呼ばれています)。
[M]=∫[N]T[N]ρdV
(例)1要素での様子:Detail1変位法による薄板FEM解析詳細 式(27)
[M]=ρt*

注:縦棒||は括弧[ ]を意味しています
〇ハイブリッド応力法(1要素での様子)
対角要素に質量を集中させる(集中質量行列と呼ばれています)
(例)1要素での様子:
[M]=m/3*

sは計算結果に影響を与えないレベルの非常に小さい値を適当に割り振ります。
(s=0ではMの逆行列が作れないため、固有値計算が出来なくなります。)
以上のように質量行列の定義に曖昧さがあるハイブリッド応力法の質量が関係する計算結果は他の手法との注意深い比較が必要と考えます(実際には次数の低い固有モードには影響を与えないようです)。
参考文献
[1]機械構造 振動学 MATALBによる有限要素法と応答解析 小松敬冶 著 森北出版株式会社
