OpenFoam※1を用いた熱流体解析
「テーマ」
・ラジコン用サーボ・モータの周囲空気による冷却の検討
「方針」
OpenFoamを用いて熱流体解析を実施します。
また解析解(机上計算)によりその妥当性を検証してみます。
尚OpenFoamを正確に使用するには高度な流体力学の知識が必要となります。しかし当事業所ではOpenFaomを流体力学の初歩知識のみで使用しているため、参考程度とお考え下さい。
※1 OpenFoam:オープンソースの流体解析ソフトウエア。
1.OpenFoamによる熱流体解析
1.1 モデル設定
下記のようなラジコン・サーボを仮定し、周囲の風速でどの程度冷却されるかを検討してみます。
・モータ・サイズ:Φ1.6 x 1.2cmと同じ体積になる直方体で模擬(1.6×1.3×1.2cm)
・ケース・サイズ:2.0(幅) x 3.6(奥行) x 2.5(高さ)cm
・ルーム:ケース内のモータ以外の部分を空気とした。
・周囲風速:1.0 m/s

1.2 OpenFoam実行
計算条件を以下に示します。
CFD設定
・メッシュ:20(奥行) x10(幅)x 8(高さ)cmを30x10x10の合計3000マスに分割。
モータ周りはΔx=1㎜程度。
・積分幅:Δt=0.0002sec前後(OpenFoam自動分割による)
・クーラン数 max0.3(実際はv*Δt/Δx=1.0×0.0002/0.001=0.2。局所的には速度が上がるので設定通り)
・床面、天井、側壁の表面速度は「0」。
諸定数
・モータ発熱量:2W(6W級モータの1/3出力時に同等の熱を発生と仮定)
・モータ材質:銅(熱伝導率386W/(m・K) 比熱 0.385J/g/K、密度 8.96)
・ケース材質:AL(熱伝導率120W/(m・K) 比熱 0.88J/g/K、密度 2.77)
・ルーム材質:空気(熱伝導率0.0286W/(m・K) 比熱 1.0J/g/K、密度 0.001225)
・モータ・ケース間熱抵抗:空気の熱伝導率0.0286W/(m・K)、空気層0.1mmを想定
・空気動粘性:1.8e-5 m2/s
上記以外のパラメータは以下のOpenFoamチュートリアルの物をそのまま使用しております。
tutorials\heatTransfer\chtMultiRegionFoam\snappyMultiRegionHeater
(注意:turbulencePropertiesはlaminar(層流)の設定)

上述条件にてOpenFoamを実行しました。解析空間内2000秒後の計算結果を以下に示します。
尚この計算にIntel Core i7-12650HのPCで約2000分の計算時間を要しております(かなりな時間です)。
〇開始直後(初期温度は300K≒30℃)
・右側T(温度)はサーボ・モータ温度を、U(速度)は周囲速度を示しています。

〇500秒経過

〇1000秒経過

〇2000秒経過

OpenFoam計算結果をエクセル表示してみます。

結果以下が推察されます。
〇サーボ
・モータ内部限界温度を80℃位と想定するとその前で収束していますが、安全に使用するならば連続運用はせいぜい15分(900秒)といったところと考えます(注意:最大出力6Wの1/3での連続運用)。
〇流体の振り舞い
・雰囲気空気は前面を良く冷やしますが、ケース全体は金属の熱伝導のおかげでほぼ同一温度となっているようです。
〇温度の振る舞い
・モータ及びケース温度は1次の伝熱上昇の振る舞いをしています。
本計算結果の検証をDetail1の方に示します。
更にdetail2にて当事業所オリジナルの改修を示します。
参考計算として鶏むね肉の調理時間への適用を実施してみました。
